財産の相続を考える時、成年後見人制度を考える人もいるでしょう。この制度は親などが認知症になったりして判断能力が不十分になったとき、後見人が支援するものです。任意後見と法的後見の2種類がありますが、任意後見は本人が健康なうち(判断能力がある間)に後見人を選んでおく必要があります。法定後見人は親などが判断能力に欠ける状態になったとき、近親者などが家裁に申し立てて後見人を選定してもらうものです。ただ、後見人による横領事件がニュースになるなど、完全に信頼できるとは限らないのが難点です。また、後見制度は高齢者(父母など)が認知症になってから効力を発しますが、家族信託なら高齢の父母などが元気なうちからスタートできるし、親の希望に沿った形で財産を運用できます。元気なときに親が自分の意志で信頼できる相手と信託契約を結べることも、家族信託が注目を集めている理由のひとつです。